人間は運命のままに身をまかせていくことはできても、これには逆らえない、つまり、人間は運命の糸を織りなしていくことはできても、これをひきちぎることはできないのだ。 けれども、なにも諦めることはない。なぜなら、運命が何を企んでいるかわからないし、どこをどう通り抜けてきて、どこに顔を出すものか、皆目見当もつきかねる以上、いつどんな幸福がどんなところから飛び込んでくるかという希望をもち続けて、どんな運命にみまわれても、またどんな苦境に追い込まれても投げやりになってはならないのである。